スタートアップのM&Aイグジットが注目を浴びている中で、のれん償却/非償却が大きな議論になっている。

その派生の議論として、SNSでは「MAによって発生したのれんの償却が税務上メリットがある」というコメントを見ることがある。

のれんの償却/非償却の議論の是非はここでは触れないが、「税務上ののれん」については誤解している人が少なからずいるので、改めて解説しようと思う。

結論から言うと、M&Aが発生すると「会計上ののれん」はほぼ間違いなく出てくるが(負ののれんも含めると)、「税務上ののれん」が発生するのは極めて稀なケースであり、「税務上ののれん」が出てくるケースは例外だろう。感覚値としてはM&Aの総数の10%にも満たないと思う。

改めて、この非常に分かりづらい「税務上ののれん」について「会計上ののれん」と比較して説明する。

なお、支配権の移転を伴う買収を前提としているため、合併や吸収分割は非適格を想定している。

結論

株式の譲渡(SPA)や株式交換のように「株式を買収するM&A」の場合、「会計上ののれん」は計上されるが「税務上ののれん」は発生しない。

合併や事業譲渡のように売り手のバランスシートをそのまま取り込むM&Aの場合のみ「税務上ののれん」は発生する(会計上ののれんも発生する)。

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説明

のれんが出るケース

買い手が売り手の株式を取得するのではなく、売り手のバランスシートを直接取り込む合併、事業譲渡、吸収分割の場合は単体のバランスシートにおいてのれんが発生する。この場合はのれんが計上されるため「のれん償却を損金計上するため税務メリットがある」という話になる。

なお、会計上も単体のバランスシートにおいてのれんが計上される。

つまり、合併も事業譲渡も会社分割もM&Aで取得する事業に紐づく資産の各勘定と負債の各勘定(つまり、純資産)の形で直接バランスシートで引き継ぐことになり、(この引き継ぐ純資産額と)買収対価との間に差額が生じるため税務上ののれん(会計上ののれんも)が計上されることになる。

のれんが出ないケース

買い手が売り手の株式を取得し、子会社化するケースがM&Aの大半だと思うが、このケースであれば「税務上ののれん」は発生しない。従って、「のれん償却を損金計上するため税務メリットがある」ような話にはならない。

なお、買い手の単体のバランスシートにおいて会計上ののれんも計上されない。

なぜか?